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医療広告ガイドラインをわかりやすく解説|クリニックのWeb担当者が押さえる「広告」の定義と禁止事項

医療広告ガイドラインをわかりやすく解説|クリニックのWeb担当者が押さえる「広告」の定義と禁止事項
クリニック集客研究所|MEDICAL AD GUIDELINE
医療広告ガイドラインは「禁止語リスト」ではなく、
患者の選択をゆがめないための判断の物差し

「ホームページの『患者様の声』は残してよいのか」「制作会社の原稿にある“最新の治療”は大丈夫か」――公開ボタンを押す前に、事務長やWeb担当者が手を止める場面は少なくありません。医療機関のウェブサイトは、2018年6月に施行された医療法改正で、チラシや看板と同じく広告規制の対象になりました。本記事では、厚生労働省の医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)、同Q&A、事例解説書(第6版)、e-Gov法令検索の医療法の条文を確認したうえで、「何が広告に当たるのか」「何が禁止され、何なら書けるのか」「違反するとどうなるのか」を、クリニックのWeb担当者が院内で判断できる形に整理します。

広告の要件は3つ誘引性・特定性・医療に関する内容
ウェブサイトもSNSも対象平成30年6月施行の改正から
禁止は7類型+品位体験談・比較優良・誇大など
結論|30秒でわかる医療広告ガイドライン

医療広告ガイドラインとは、医療法第6条の5などが定める医療に関する広告の規制について、厚生労働省が解釈と具体例を示した指針で、正式名称は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」です。患者の受診を誘引する意図があり(誘引性)、医院名などが特定でき(特定性)、医業や病院・診療所に関する内容であれば、ホームページやSNSの投稿も「医療広告」として規制を受けます。

  • 虚偽・比較優良・誇大・公序良俗に反する広告、患者の体験談、誤認させるおそれのある治療前後の写真などは禁止されている
  • 広告できるのは法律と告示で認められた「広告可能事項」が原則。ウェブサイトなどは4つの要件を満たせば限定を解除できる
  • 規制の対象は「何人も」。医院だけでなく、制作会社・広告代理店・アフィリエイターも含まれる
  • 虚偽広告や中止・是正命令への違反には、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められている
?自院のホームページは「情報提供」であって「広告」ではないのでは?
?「最新」「専門外来」「患者様の声」は、なぜ問題になると言われるのか?
?違反を指摘されたら、いきなり罰金や処分になるのか?
✓先に確認する5つの要点
  • 医療広告に当たるのは、①誘引性、②特定性、③医業や病院・診療所に関する内容、の3つをすべて満たすもの。院のサイトやSNSは通常すべて満たす
  • 媒体は問わない。院内掲示や院内で配るパンフレット、職員募集広告は、通常は広告に当たらない
  • 禁止は、虚偽、比較優良、誇大、公序良俗違反、広告可能事項以外、体験談、誤認させるおそれのある治療前後の写真の7類型。費用の強調なども厳に慎むべきとされる
  • ウェブサイトなどは要件を満たせば広告可能事項の限定を解除できるが、体験談や誇大な表現が許されるわけではない
  • 違反が疑われると、通常は保健所などの任意の調査と行政指導から始まる。個別の表現の適否は、所管の保健所や専門家に確認するのが確実
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ホームページとGoogleマップの表現を、医療広告ガイドラインの観点で点検したい方へ

公式サイト・Googleビジネスプロフィールの説明文や投稿に含まれる体験談、比較・誇大表現、費用の強調、自由診療ページの記載漏れなどを一覧にし、直す順番を整理します。最終的な適否は所管の保健所等への確認を前提に、確認すべき箇所を洗い出します。

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最終確認日:2026年10月15日。厚生労働省の医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)、医療広告等ガイドラインに関するQ&A(令和8年3月改定)、事例解説書(第6版、令和8年3月)、e-Gov法令検索の医療法・医療法施行規則を確認しています。法令やガイドラインは改正されることがあります。本記事は一般的な運用情報であり、個別の表現の適法性や指導の有無を保証するものではありません。

目次

DEFINITION医療広告ガイドラインとは|根拠となる法律と改正の流れ

医療広告ガイドラインは、医療法の広告規制を行政がどう解釈し、どう指導するかを示した厚生労働省の指針です。法律そのものではありませんが、都道府県や保健所設置市、特別区が指導するときの拠り所になるため、クリニックの情報発信は実務上この指針に沿って判断されます。

医療の広告が他の業種より厳しく制限されている理由について、ガイドラインは2点を挙げています。医療は人の生命・身体に関わるサービスで、不当な広告に誘われて不適当なサービスを受けた場合の被害が他の分野に比べて著しいこと。そして、医療は極めて専門性が高く、広告の受け手が提供される実際のサービスの質を事前に判断することが非常に難しいことです。このため医療広告は、認められた事項以外は原則として広告できない「限定列挙」の考え方をとっています。

関係する法令と資料は、次のように役割が分かれています。

医療法第6条の5
医療広告の規制の中心となる条文。第1項で虚偽広告を禁止(罰則付き)、第2項で比較優良広告・誇大広告・公序良俗に反する広告などの基準、第3項で広告できる事項(広告可能事項)を定めています。
医療法施行規則
第1条の9で体験談と治療前後の写真の広告を禁止し、第1条の9の2で広告可能事項の限定を解除できる要件を定めています。
広告告示
「医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項」(平成19年厚生労働省告示第108号)。治療方法や専門性資格など、広告できる事項の詳細を定めています。
医療広告等ガイドライン
上の法令の解釈と、広告に当たるもの・当たらないもの、禁止される広告の具体例、指導の手順を示す指針。令和8年3月30日に最終改正されています。
医療広告規制の主な見直し(厚生労働省資料より)
時期主な内容クリニックへの影響
平成30年6月1日施行(平成29年の医療法改正)規制対象を「広告」から「広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」に拡大。ウェブサイトも虚偽・誇大等の禁止、是正命令や罰則の対象に。一定の条件で広告可能事項の限定を解除できる仕組みを導入公式サイト・ブログ・SNSの記載も規制の対象になった。自由診療の詳しい情報は、要件を満たせば掲載できる
令和8年4月1日から一部施行(令和7年の医療法改正)医療法にオンライン診療を定義し、患者がオンライン診療を受ける施設として「オンライン診療受診施設」を創設。その施設に関する広告の規制を新設し、ガイドラインの名称も「医療広告等ガイドライン」にオンライン診療を行う医院は、受診施設に関する広告と医療広告の区別に注意が必要になった

THREE REQUIREMENTS「医療広告」に当たる3つの要件

ガイドラインは、①患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)、②医師名や医療機関名などが特定可能であること(特定性)、③医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する内容であること、のいずれも満たすものを医療広告と判断するとしています。院のホームページやSNSアカウントは、通常この3つをすべて満たします。

医療広告の3要件と、判断で迷いやすい例
要件ガイドラインの考え方(要旨)クリニックで迷いやすい例
①誘引性情報の対象となる医療機関の利益を期待して誘引しているかで判断する。新聞記事は、特定の病院を推薦する内容でも通常は誘引性を満たさない院が自らのサイトに載せる体験談は広告に当たる(そのうえで省令で禁止)。院が費用を負担して掲載を依頼した記事は「記事風広告」として広告に当たる
②特定性医師・歯科医師の氏名、医療機関名などが特定可能であること。複数の医療機関を対象としている場合も該当する医院名を書かなくても、住所・電話番号・URLから特定できれば該当し得る
③医療に関する内容医業・歯科医業、病院・診療所に関する内容であること。令和8年の改正で、オンライン診療受診施設に関する広告とは区別して整理された診療時間、診療内容、医師紹介、設備、料金など、院の情報発信のほとんどが該当する
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古い解説では「誘引性・特定性・認知性」の3要件と紹介されていることがあります。現行ガイドラインは、ウェブサイトはこれまで認知性(一般人が認知できる状態にあること)がないために規制の対象外とされてきたと記しており、現在の要件は上の3つです。院内マニュアルが古いままなら更新しましょう。

「広告ではありません」と書いても広告になる場合

ガイドラインは、規制を避ける目的で形式だけ要件から外そうとする表示を、実質的に広告として扱うとしています。例として挙げられているのは、「これは広告ではありません」と書きながら病院名が記載されているもの、「具体的な病院名は記載できません」としながら住所・電話番号・URLから特定できるもの、治療法を紹介する書籍やサイトの形をとりながら特定の医療機関の連絡先が載っているもの(いわゆるタイアップ本や記事風広告)です。さらに、医療機関が広告料などの費用を負担して掲載を依頼している場合など、患者に広告と気付かれないように行う、いわゆるステルスマーケティングも、広告として扱うことが適当な場合があると明記されています。

暗示的・間接的な表現も医療広告に含まれます。ガイドラインは、「最高の医療の提供を約束!」というキャッチフレーズ、病人が回復して元気になる姿のイラスト、「ガン消える」を連想させるURLなどを例に挙げています。文字だけでなく、写真・イラスト・ドメイン名まで含めて点検する必要があります。

SCOPE規制の対象になる媒体と、対象になる人

チラシ・看板・新聞雑誌・放送・ウェブサイト・メールまで、媒体を問わず規制の対象です。一方、学術論文、通常の新聞記事、患者が自発的に書いた体験談、院内掲示、職員募集広告は、誘引性がないため通常は広告と見なされません。

クリニックが使う媒体の扱い(ガイドライン・Q&Aより)
媒体・情報医療広告の規制補足
公式ウェブサイト、院のSNS・動画対象要件を満たせば限定解除が可能
チラシ、ダイレクトメール、FAX対象配布物は限定解除の対象になりにくい(次章以降で解説)
看板、ポスター、電車・車体の広告対象広告可能事項の範囲で表示する
バナー広告、リスティング広告対象限定解除の要件①を満たさないため、広告可能事項に限られる
チラシのQRコードから表示されるサイト対象ウェブサイトと同様に扱い、限定解除が可能(Q1-8)
メールマガジン、希望者に送るパンフレット対象患者の希望でも広告として扱うが、限定解除は可能(Q1-11)
院内掲示、院内で配布するパンフレット通常は対象外受け手が既に受診している患者に限られるため。ただし複数の医療機関を紹介するパンフレットは、誘引性と特定性があれば対象(Q1-14)
患者が自発的に書いた口コミ・SNS投稿通常は対象外院が依頼した、謝礼を出した、有利に編集させた場合などは誘引性が生じる
学術論文・学会発表、職員募集広告通常は対象外論文を装ってDMで送る場合などは広告になり得る

規制の対象は「何人も」

医療法第6条の5第1項は「何人も」と定めており、ガイドラインは、医師や医療機関だけでなく、マスコミ、広告代理店、アフィリエイター、患者や一般人も規制の対象になると説明しています。日本国内向けであれば、海外の事業者による広告も対象です。広告を企画・制作する代理店や掲載する媒体は、違反があれば広告を依頼した医療機関とともに指導の対象になり得ます。Q&Aは、医療機関の検索サイトやポータルサイトの運営会社、広告を作成した代理店にも、是正が命じられたり罰則が科されたりすることがあるとしています(Q5-2)。

「制作会社が作ったから」は院の免責になりません。自治体向けの指導手順書のひな型も、医療機関が制作事業者に依頼して掲載している場合、医療機関も広告の内容に責任を持つべきだとしています。制作を外部に頼む場合の確認体制はホームページ制作会社の選び方で、契約時に決めておく項目として整理しています。

PROHIBITED禁止される広告|7つの類型と品位を損ねる広告

禁止される広告は、虚偽広告、比較優良広告、誇大広告、公序良俗に反する広告、広告可能事項以外の広告、患者等の主観に基づく体験談、誤認させるおそれのある治療前後の写真の7類型です。このほか、費用を強調した広告などの「品位を損ねる広告」は、厳に慎むべきとされています。

禁止される広告の類型と根拠、ガイドラインが示す例
類型根拠ガイドライン等の例(要旨)
虚偽広告医療法第6条の5第1項(罰則付き)「絶対安全な手術です!」、「厚生労働省の認可した○○専門医」、加工・修正した術前術後の写真、根拠や調査方法を示さない「○%の満足度」
比較優良広告同条第2項第1号「日本一」「No.1」「最高」などの最上級の表現、「県内一の医師数を誇ります」、著名人が推薦している・受診している旨。客観的な事実でも禁止
誇大広告同条第2項第2号「知事の許可を取得した病院です!」のような当然の事項の強調、活動実態のない団体による認定、科学的根拠の乏しい情報で症状のリスクを強調して受診を促す表現
公序良俗に反する広告同条第2項第3号わいせつ・残虐な図画や映像、差別を助長する表現
広告可能事項以外の広告同条第3項「○○専門外来」、死亡率・術後生存率、未承認医薬品による治療の内容(ウェブサイト等では限定解除で掲載できるものがある)
体験談医療法施行規則第1条の9第1号治療等の内容や効果に関する患者の主観・伝聞に基づく体験談。記述が広告可能な範囲でも認められない
治療前後の写真同条第2号説明のない術前・術後の写真やイラスト。通常必要とされる治療内容・費用、主なリスク・副作用等の詳細な説明を付した場合は当たらない
品位を損ねる広告などガイドライン第3-1の1(8)「今なら○円でキャンペーン実施中!」「期間限定で○○療法を50%オフ」「○○治療し放題プラン」、「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」、ふざけた表現

「人を誤認させる」かどうかについて、ガイドラインは、一般人が広告から受ける「印象」や「期待感」と実際の内容に相違があると常識的に判断できれば足り、実際に誤認した人がいることまでは必要ないとしています。「嘘ではないから大丈夫」という判断は成り立たないということです。

Q&Aでは、「最先端」「最適」は誇大広告(Q2-2)、「最良」「最上」は比較優良広告(Q2-3)、「痛くない治療」は科学的根拠がなく広告できない(Q3-22)と整理されています。「最新」は事実で裏付けを示せれば必ずしも禁止ではないものの、古くなれば虚偽・誇大のおそれがあります(Q2-1)。

NG評価・印象で選ばせようとする

「地域No.1の実績。最先端の機器で痛くない治療を。患者様の声にも『来てよかった』と多数いただいています。今月限定で初診料半額!」

比較優良(No.1)、誇大(最先端・痛くない)、体験談、費用の強調が1文に重なっている。

OK確かめられる事実で伝える

「内科・消化器内科。胃内視鏡検査は予約制で、鎮静剤の使用は診察で相談のうえ決めています。土曜は9:00〜13:00に診療しています。」

広告可能事項の範囲で、患者が判断に使える事実を書いている。

体験談と治療前後の写真、比較・誇大表現、費用の表示は、それぞれ別の記事でガイドラインの具体例に沿って掘り下げていきます。Googleマップの投稿や口コミ返信での注意点は、既存のGoogleマップ運用と医療広告ガイドラインの確認表にまとめています。

ALLOWED広告できる事項|医療法の「広告可能事項」

限定解除をしない媒体(看板、チラシ、バナー広告など)では、医療法と広告告示で認められた事項しか広告できません。医療法第6条の5第3項は1号から16号までの項目群を定めており、診療科名、医院名と連絡先、診療日時、医療従事者の略歴、保険診療の治療方法などが含まれます。

広告可能事項は「○○に関する事項」という項目群で定める「包括規定方式」です。クリニックに関係の深いものは次のとおりです。

医療法第6条の5第3項の主な広告可能事項と書き方の注意(ガイドラインより要約)
号内容書き方の注意
1号・2号医師・歯科医師である旨、診療科名診療科名は政令で定めるものに限る。「麻酔科」は許可を受けた医師の氏名を併記する
3号・4号名称、電話番号、所在地、管理者の氏名、診療日・診療時間、予約診療の有無略称や英語名、道順・地図、予約受付時間やウェブ予約のURLも可。診療日時は可能な限り記載が望ましいとされる
5号法令に基づく指定を受けている旨保険医療機関、指定自立支援医療機関など。指定の内容を正確に
8号施設・設備・従業者に関する事項MRI・CTなど一般的名称や写真は可、医療機器の販売名や型式番号は不可。人数は時点を暦月で併記し、少なくとも年1回更新
9号医療従事者の氏名・年齢・性別・役職・略歴、専門性の認定専門医は日本専門医機構等の基本領域、または届出団体の資格を団体名とともに。「研修を受けた旨」は広告できない
10号管理・運営に関する事項休日・夜間診療、電子カルテ、セカンドオピニオン、相談窓口、安全管理、個人情報保護、平均待ち時間、開設日など
11号・12号連携先、情報提供紹介できる病院名、ウェブサイトのURL、メールアドレス、QRコード
13号提供される医療の内容検査・手術などの治療方法は告示で定めるもの(保険診療など)に限る。自由診療は、保険診療と同じ方法や承認医薬品等を承認の範囲で使う場合に、自由診療である旨と標準的な費用を併記して可
14号医療の提供の結果手術件数・分娩件数などは期間を暦月で併記し、検証できる形で公表。死亡率・治癒率などは原則不可
16号告示で定める事項健康診査、予防接種の実施(ワクチンの商品名や効果は不可)、支払方法、駐車場、対応言語、通訳など

ガイドラインは、医療機能情報提供制度で報告する事項は、専門外来を除いて原則として広告可能だとしています。また、広告可能な事項であれば、文字だけでなく写真・イラスト・映像・音声でも表現でき、「☎03-…」のように社会一般で使われる略号も差し支えないとされています。医師紹介ページで広告可能事項の範囲を守る書き方は院長・医師紹介ページの書き方で、患者が受診前に確かめる情報の一覧はクリニックのホームページに載せるべき情報チェックリストで扱っています。

LIMITED RELEASE限定解除とは|ウェブサイトで書ける範囲が広がる条件

限定解除とは、患者が自ら求めて入手する情報について、医療法施行規則第1条の9の2の要件を満たした場合に、広告可能事項の限定を外して他の事項も広告できる仕組みです。要件は4つで、自由診療の情報を載せる場合は4つすべて、それ以外は①と②を満たす必要があります。

広告可能事項の限定解除の要件(医療法施行規則第1条の9の2)
要件条文の要旨ガイドライン・Q&Aの補足
①医療に関する適切な選択に資する情報であって、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であることウェブサイト、メールマガジン、求めに応じて送るパンフレットなどが該当し得る。バナー広告、検索連動のスポンサー表示、費用を払って上位表示させたものは該当しない
②表示される情報の内容について、患者等が容易に照会できるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること電話番号・メールアドレスなど。予約専用と書かれた番号だけ、自動音声だけで折り返しがない番号、返答のないメールは要件を満たさない(Q6-10)
③自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること治療内容、標準的な費用、治療期間・回数。費用が一定でなければ最低から最高まで(発生頻度の高い追加費用を含む)の範囲を示す
④自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること利点と同じように分かりやすく。極端に小さな文字やリンク先だけへの掲載は不可
限定解除しても、禁止事項は解除されない

ガイドラインは、限定解除で広告できる事項についても、医療法第6条の5第2項と施行規則第1条の9の基準に適合し、虚偽にわたってはならないとしています。つまり、要件を満たしたページでも、体験談、説明のない治療前後の写真、比較優良・誇大な表現は使えません。また、未承認医薬品等を自由診療で使う場合は、未承認であること、入手経路、国内の承認品の有無、諸外国での安全性等の情報、医薬品副作用被害救済制度の対象外であることの明示も必要です。

「総合診療科」のような広告可能でない表記や、医師個人の手術件数なども、ウェブサイトで要件①②を満たせば掲載できるとQ&Aは示していますが、看板やリスティング広告では同じ表記はできません。「サイトに書いてあることを、そのまま看板や広告文に流用しない」ことが、媒体をまたいだ運用の基本です。自由診療の情報をGoogleマップとどう分担するかは、美容クリニックのMEOや矯正歯科のMEOで診療科別に扱っています。

ENFORCEMENT違反するとどうなるか|指導・命令・罰則の流れ

違反が疑われる広告は、通常、まず都道府県・保健所設置市・特別区による任意の調査と行政指導(中止や是正の求め)から始まります。従わない場合は報告命令・立入検査、中止命令・是正命令へと進み、虚偽広告や命令違反には罰則が定められています。

1

覚知

厚生労働省の委託事業(医療機関ネットパトロール)からの情報提供、立入検査時の発見、住民からの通報などで、自治体が把握します。

ウェブサイトは常に見られている前提で
2

任意の調査と行政指導

任意の調査の後、違反と判断されれば、広告の中止・是正、違反広告物の回収・廃棄などが求められます。

多くはこの段階で改善される
3

報告命令・立入検査(医療法第6条の8第1項)

任意の調査に応じない場合などに、報告を命じたり、事務所に立ち入って文書などを検査したりできます。

拒否や虚偽報告は罰則の対象
4

中止命令・是正命令(同条第2項)

行政指導に従わない場合や違反を繰り返すなど悪質な場合に、期限を定めて広告の中止や是正が命じられます。命令に先立ち、弁明の機会が与えられます。

命令や告発は原則公表
5

告発・行政処分

虚偽広告の指導に応じない場合や命令違反は告発が考慮され、悪質な場合は管理者変更命令(第28条)や開設許可の取消し等(第29条)も考慮されます。

ここまで進む前に対応する
医療広告に関する主な罰則(e-Gov法令検索の医療法で確認)
違反条文罰則
虚偽広告(第6条の5第1項)、麻酔科の広告で許可医師名を併記しない(第6条の6第4項)第87条第1号6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
中止命令・是正命令(第6条の8第2項)に違反第87条第3号6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
報告命令に対する報告の懈怠・虚偽報告、立入検査の拒否・妨害(第6条の8第1項)第89条第2号20万円以下の罰金
法人の代表者や従業者が業務に関して上記の違反をした場合第90条行為者のほか法人にも罰金刑

ガイドライン本文は罰則を「6月以下の懲役」と記載していますが、e-Gov法令検索で確認できる現行の医療法第87条は「六月以下の拘禁刑」となっています。比較優良広告や誇大広告、体験談などは、それ自体に直接の罰則はなく、行政指導や命令の対象になり、命令に従わなければ罰則の対象になる、という構造です。厚生労働省が令和6年8月に示した自治体向け手順書のひな型では、行政指導による改善は覚知から2〜3か月以内、命令は6か月以内を目途とする例が示されています(実際の期限は自治体が定めます)。

WORKFLOW院内の確認体制|公開前チェックの5ステップ

違反の多くは、制作会社に任せきりの原稿や、スタッフが善意で書いたSNS投稿から生まれます。誰が書き、誰が確認し、迷ったら誰に聞くかを院内で決め、公開前に同じ手順で点検することが、最も確実な予防策です。

1

媒体を棚卸しする

公式サイト、ブログ、Googleビジネスプロフィール、SNS、チラシ、看板、ポータルの掲載原稿、広告文を一覧にし、管理者を決めます。

忘れがちなのは古いブログと広告文
2

媒体ごとに「書ける範囲」を決める

限定解除ができる媒体(公式サイトなど)と、広告可能事項に限られる媒体(看板、チラシ、広告文)を区別します。

同じ文章の使い回しに注意
3

禁止類型を順に確認する

体験談(アンケートやSNSの引用を含む)、治療前後の写真、最上級・比較表現、根拠のない数字、費用の強調を確認します。

画像の中の文字も確認
4

根拠と確認日を残す

医師数・件数・資格・設備の記載は根拠資料と確認日を保管し、時点を併記して年1回は見直します。

求められたら示せる状態に
5

迷う表現は相談し、記録する

迷う表現は、所管の保健所など自治体の担当窓口や専門家に相談し、相談日・相談先・回答内容を記録します。

自己判断で「グレー」を残さない

症状や疾患の解説ページ、院長ブログは、医療情報としての正確さと広告規制の両方が問われる場所です。書き方は症状・疾患ページの作り方と院長ブログ・コラムの考え方で扱っています。医療情報の信頼性を示す著者情報や更新日の示し方は医療情報のE-E-A-TとAI検索も参考にしてください。

COMMON MISTAKES医療広告でよくある失敗6つ

01「患者様の声」ページが残っている

治療内容や効果に関する感想は、院のサイトに載せた時点で禁止される体験談に当たります。直筆アンケートの画像や、スタッフによる要約も同じです。

02口コミサイトの評価を転載する

事例解説書は、口コミサイトから体験談を転載・抜粋する例を違反例として挙げています。有利な口コミだけを選ぶと誇大広告にも当たります。

03「○○専門外来」を看板や広告文に使う

専門外来は広告可能な診療科名と誤認させるため広告できません。ウェブサイトでは限定解除の要件を満たせば掲載できる場合があります。

04最上級や印象の言葉で差別化する

「地域No.1」「最先端」「最適」「痛くない」は、比較優良・誇大・虚偽のおそれがあります。設備・体制・診療時間などの事実で伝えます。

05キャンペーン価格を前面に出す

割引や期間限定、モニター価格の強調は「品位を損ねる広告」の例とされています。料金は標準的な費用を淡々と示します。

06制作会社任せで院内の確認者がいない

違反の責任は院にも及びます。公開前に誰が確認するか、迷ったら誰に相談するかを決めておきます。

関連ページも同時に確認

FAQよくある質問

医療広告ガイドラインは法律ですか?
ガイドライン自体は法律ではなく、医療法第6条の5や医療法施行規則などの広告規制について、厚生労働省が解釈と具体例を示した指針です。ただし、都道府県や保健所設置市、特別区が指導を行う際の拠り所になるため、実務上はガイドラインに沿って判断されます。罰則の根拠は医療法の条文にあります。
自院のホームページは「広告」に当たりますか?
通常は当たります。平成30年6月施行の医療法改正で、規制対象が「広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」に広がり、医療機関のウェブサイトも虚偽・誇大等の禁止や是正命令の対象になりました。院のサイトは誘引性・特定性・医療に関する内容の3要件を満たすのが一般的です。ただし、要件を満たせば広告可能事項の限定を解除できます。
Googleビジネスプロフィールの説明文や投稿も対象ですか?
ガイドラインはGoogleビジネスプロフィールを名指ししていませんが、院が管理する説明文・投稿・写真は、受診を誘引する意図があり医院名も特定できるため、医療広告として扱われる可能性が高いと考えて運用するのが安全です。限定解除の要件を満たせる媒体かは判断が分かれ得るため、自由診療の費用やリスクの詳細は公式サイトに置き、迷う表現は所管の保健所等に確認してください。
患者が自分で投稿したGoogleの口コミも違反になりますか?
ガイドラインは、第三者が運営する口コミサイトや個人のSNSへの体験談の掲載について、医療機関が費用負担などの便宜を図って掲載を依頼しているといった誘引性が認められない場合は広告に該当しないとしています。一方、院がその口コミを自院のサイトや広告に転載すると、体験談の広告として扱われます。投稿の依頼方法にも注意が必要です。
「最新」という言葉は使えませんか?
Q&Aは、「最新の治療法」「最新の医療機器」が医学的・社会的な常識の範囲で事実と認められれば必ずしも禁止ではないとしつつ、求められれば裏付けを示せる必要があり、より新しいものが定着した後や十数年前のものに使うと虚偽・誇大のおそれがあるとしています。「最先端」「最適」は誇大広告、「最良」「最上」は比較優良広告に当たるとされています。
違反を指摘されたら、すぐに罰金になりますか?
通常は、自治体による任意の調査と、広告の中止・是正を求める行政指導から始まります。指導に従わない場合や悪質な場合に、報告命令・立入検査、中止命令・是正命令へ進みます。虚偽広告と命令違反には6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、報告命令違反や検査拒否には20万円以下の罰金が医療法で定められています。指摘を受けたら速やかに対応してください。
判断に迷う表現は、どこに相談すればよいですか?
Q&Aは、医療広告に関する疑問は各医療機関を所管する地方自治体や保健所に相談するよう案内しており、厚生労働省の「医療法における病院等の広告規制について」のページに相談窓口の情報が掲載されています。表現の法的な評価や他法令との関係まで確認したい場合は、医療法に詳しい弁護士など専門家への相談も検討してください。相談の記録は院内に残しましょう。

SUMMARYまとめ|医療広告は「事実で、確かめられる形で」伝える

この記事のポイント
POINT 01誘引性・特定性・医療に関する内容の3要件で判断
POINT 02ウェブサイト・SNS・看板・チラシまで媒体を問わない
POINT 03禁止は7類型+品位を損ねる広告
POINT 04看板・広告文は広告可能事項の範囲に限る
POINT 05限定解除しても体験談や誇大表現は使えない
POINT 06指導から命令・罰則へ。迷ったら保健所等に相談

今日から進めるならこの順番

STEP 01院が発信している媒体を一覧にする
STEP 02体験談・比較・費用強調を最優先で外す
STEP 03自由診療ページの記載項目をそろえる
STEP 04公開前の確認者と相談先を決める

医療広告ガイドラインが求めているのは、目立つ言葉で患者を引き寄せることではなく、患者が自分に合った医療機関を選べるよう、確かめられる事実を正確に伝えることです。診療時間、診療内容、医師の経歴、設備、費用とリスク。これらを媒体ごとのルールに沿って誠実に載せることが、規制を守ることにも、選ばれることにもつながります。Googleマップでの見え方を含めた情報発信の全体像はクリニックMEO完全ガイドにまとめています。

CLINIC MEO DIAGNOSIS

公式サイトとGoogleマップの表現を、医療広告の観点から照合します

Googleビジネスプロフィールの説明文・投稿・写真と、公式サイトの診療案内・自由診療ページ・医師紹介を確認し、体験談や比較・誇大表現、記載漏れの可能性がある箇所と、直す優先順位をお渡しします。

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確認した一次情報・公式情報
執筆・編集:クリニック集客研究所(MOCHI ha MOCHIYA)
本記事は一般的な運用情報であり、個別の広告表現の適法性、行政指導の有無、集患の効果を保証するものではありません。
対象:日本国内のクリニック・診療所のウェブサイト、SNS、Googleビジネスプロフィール、紙媒体の情報発信。個別の表現が医療広告規制に適合するかの判断は、所管の保健所など自治体の担当窓口、または医療法に詳しい専門家にご確認ください。
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