選ぶための情報を、規制の要件どおりに置くこと
保険診療が中心の医院で、新しく自由診療のメニューを始めることになった。スタッフがInstagramに「今月限定〇%オフ」と載せようとしているのを見て、院長は「これは書いてよいのだろうか」と手を止める――。自由診療は、保険診療と違って費用を医院が決め、内容も医院ごとに異なるため、患者は時間をかけて比べます。一方で、医療広告ガイドラインは自由診療の情報発信に厳しい要件を設けており、費用の強調や体験談、治療前後の写真の扱いを誤ると、規制に反するだけでなく、保険診療で通う患者の信頼まで損ねかねません。本記事では、保険中心の医院が自由診療を案内するための情報設計、説明ページと価格表示の整え方、チャネルごとの扱い、院内での案内の仕方を整理します。
自由診療メニューの集患とは、保険が適用されない診療を必要とする患者が適切に選べるよう、内容・費用・期間・リスクの情報を医療広告ガイドラインの要件に沿って整え、保険診療と混同されない形で案内することです。集患の中心は、公式サイトの説明ページの質であり、割引や限定の告知で患者を誘うことではありません。
- 公式サイトに保険診療と分けた「自由診療の説明ページ」を作り、内容・費用の総額・期間や回数・主なリスクと副作用・問い合わせ先を同じページに置く
- 価格は税込の総額で示し、追加でかかり得る費用も書く。「〇%オフ」「今月限定」「モニター価格」など費用を強調する表示は避ける
- Googleマップ・SNS・広告では、説明ページへの入口として事実だけを案内し、体験談や治療前後の写真を使わない
- 院内では、希望する患者が自ら情報を得られるようにし、医師が説明して考える時間をとる。押し売りや即日の契約を急がせない
- 医療広告ガイドラインは、自由診療について、問い合わせ先の明示、通常必要とされる治療の内容・費用などの情報、主なリスク・副作用などの情報の提供といった要件を満たしたウェブサイト等で、広告可能事項の限定を解除できる仕組み(限定解除)を定めている
- 保険診療と保険外の診療の併用(いわゆる混合診療)は原則として認められず、評価療養・選定療養などの例外がある。同じ日に保険診療と自由診療を行う場合の扱いは、個別に確認が必要
- 価格を表示する場合は消費税を含む総額表示が義務付けられている(国税庁)。「〇円〜」だけの表示は総額が分かりにくい
- 美容医療のうち一定の施術で、期間が1か月を超え、総額が5万円を超える契約は、特定商取引法の特定継続的役務提供の対象となり、契約書面を受け取った日から8日以内のクーリング・オフなどの規定がある(消費者庁)
- Googleマップの口コミに対し、投稿と引き換えに割引などのインセンティブを提供することはGoogleのポリシーで禁止されている
自由診療の情報が、Googleマップで適切に案内できているか確認したい方へ
Googleビジネスプロフィールのサービス欄・説明文・投稿・写真を、保険診療との区別、費用の書き方、公式サイトの説明ページへの導線の視点で照合し、直す箇所を整理します。
無料MEO診断の内容を見る →最終確認日:2026年10月15日。医療広告ガイドライン、総額表示、特定商取引法、保険外併用療養費の制度、Googleのポリシーは改正・更新されることがあります。本記事は集患・情報発信の運用情報であり、集患の効果や、個別の表現・契約・診療の適法性を保証するものではありません。
PREMISE保険中心の医院が自由診療を案内するときの前提
自由診療は、費用と内容を医院が決め、患者が全額を負担する診療です。保険中心の医院が案内するときは、医療広告の要件を守ること、保険診療と混同させないこと、保険診療で通う患者の信頼を損ねないことの3つが前提になります。
- 自由診療
- 公的医療保険が適用されない診療。費用は医院が設定し、患者が全額を負担します。美容目的の施術、任意の予防接種、一部の検査などが含まれます。
- 混合診療の原則
- 保険診療と保険外の診療の併用は原則として認められず、保険外の診療を受けると保険の対象になる診療も含めて全体が自己負担になるのが原則です。例外として、評価療養・選定療養などの保険外併用療養費の仕組みがあります。
- 限定解除
- 医療広告ガイドラインで、広告できる事項の限定を、一定の要件を満たしたウェブサイト等に限って解除する仕組み。自由診療の詳しい情報は、要件を満たした場所で提供します。
- 総額表示
- 消費者に対して価格をあらかじめ表示する場合に、消費税を含めた支払総額を表示すること。国税庁は「11,000円(税込)」などの表示例を示しています。
保険診療で通う患者にとって、医院が自由診療を始めたことは、ときに「売り込まれるのでは」という不安にもつながります。自由診療の情報は、必要とする人が自ら見に行ける場所に、十分な量で置き、保険診療の場では求められたときに説明するという線引きが、両方の患者の信頼を守ります。
STRUCTURE情報設計|保険診療と分けた「自由診療の説明ページ」
公式サイトでは、保険診療の案内と自由診療の案内を分け、自由診療は「自由診療のご案内」の一覧ページと、メニューごとの説明ページで構成します。費用・期間・リスクの情報は、メニューごとの説明ページに集約します。
| ページ | 載せる内容 | 保険診療との関係 |
|---|---|---|
| 自由診療のご案内(一覧) | 行っている自由診療のメニュー、保険が適用されないこと、相談の方法 | 保険診療の案内から分け、ナビゲーションでも区別する |
| メニューごとの説明ページ | 内容、対象、費用の総額、期間・回数、主なリスク・副作用、問い合わせ先 | 保険診療で行う内容と混在させない |
| 料金表 | メニューごとの税込総額、追加費用、支払い方法 | 保険診療の自己負担の目安と同じ表に混ぜない |
| よくある質問 | 受診の流れ、相談の費用、キャンセル、契約に関する質問 | 自由診療に関する質問としてまとめる |
医療広告ガイドラインは、自由診療について、問い合わせ先の明示、通常必要とされる治療の内容・費用などの情報、主なリスク・副作用などの情報を提供するなどの要件を満たしたウェブサイト等で、広告可能事項の限定を解除できるとしています。要件の情報を別々のページに散らさず、メニューごとの説明ページに一緒に置くことで、患者にも分かりやすくなります。要件の詳細は医療広告の限定解除とはで解説しています。
PAGE TEMPLATE説明ページの構成テンプレート
説明ページは、患者が比較検討で確かめたい順番に、対象・内容・費用・期間・リスク・受診の流れ・問い合わせ先を並べます。見出しごとに最初の1〜2文で答え、断定や誇張を避けて事実で書きます。
どんな悩みの人向けか(対象)
どのような悩みや目的の人に向けた診療かを書きます。適応は診察で判断することを明記し、「誰でも」「必ず」といった表現は使いません。
適応は診察で判断どんな診療か(内容)
行う内容、使う医薬品・機器の種類、1回の所要時間を事実で書きます。国内で承認されていない医薬品・医療機器を使う場合は、その旨と入手経路、国内の承認品の有無、海外での安全性に関する情報などの明示が必要です。
未承認品は明示事項を確認費用・期間・回数
税込の総額、標準的な期間と回数、追加でかかり得る費用(検査、薬、再診など)を書きます。分割払いの取り扱いは支払い方法の事実として書きます。
総額と追加費用をセットで主なリスク・副作用
起こり得る主なリスクと副作用、その場合の対応を、費用と同じページに書きます。リスクを小さな文字で目立たなくする書き方は避けます。
費用と同じページに受診の流れと問い合わせ先
相談・診察・説明・同意・施術(治療)までの流れ、相談の予約方法、問い合わせ先の電話番号と受付時間、ページの更新日と監修した医師名を書きます。
更新日と医師名も治療前後の写真を載せる場合は、治療内容・費用・リスクなどの詳しい説明を同じ場所に付ける必要があり、加工した写真は使えません。扱いは医療広告のビフォーアフター写真のルールで確認してください。写真がなくても、上の5つが丁寧に書かれた説明ページは、比較検討する患者にとって十分な判断材料になります。
PRICE価格表示の整え方
価格は、税込の総額で、何が含まれ何が含まれないかと一緒に示します。費用の安さや割引を前面に出す表示は、医療広告ガイドラインで注意が求められる「費用を強調した広告」に当たり得るため避けます。
「〇〇治療 今月限定50%OFF! 1回 3,000円〜 モニター様募集中」
割引・期間限定・最安値の強調で受診を誘っている。「〜」だけでは総額が分からず、追加費用やリスクの情報もない。
「〇〇治療(自由診療):1回 11,000円(税込)。初回は診察料 3,300円(税込)が別途かかります。標準的な回数・期間、主なリスク・副作用は下記をご覧ください。」
税込の総額、別途かかる費用、期間とリスクの情報への導線がある。数値は説明のための例です。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 総額表示 | 消費税を含む総額で表示しているか(例:11,000円(税込)) |
| 含まれる費用 | 診察料、検査、薬、再診、アフターケアが含まれるかを明記しているか |
| 標準的な総額 | 複数回が必要な場合、標準的な回数での総額の目安を示しているか |
| 「〜」の表示 | 最低価格だけを示し、実際にかかる費用が分からない表示になっていないか |
| 割引・限定 | 期間限定の割引、モニター価格、「今だけ」などで受診を誘っていないか |
| 支払い方法 | 分割払いの月額を前面に出し、総額を見えにくくしていないか |
料金表の具体的な作り方は自由診療の料金表示で、避けたい表示の例とともに扱っています。
CHANNELSチャネルごとの扱い|Googleマップ・SNS・広告・院内
Googleマップ、SNS、Web広告、院内掲示は、いずれも説明ページへの「入口」として使います。入口では自由診療を行っている事実と相談の方法を伝え、費用・期間・リスクの詳しい情報は説明ページで提供します。
| チャネル | 書けること・すること | 避けること |
|---|---|---|
| Googleビジネスプロフィール | サービス欄に「〇〇(自由診療)」と区分を付けて登録し、説明は公式サイトの説明ページへの案内に | 特典・割引の投稿、治療前後の写真、口コミへの返信での治療内容への言及 |
| Instagramなど SNS | 診療の流れや院内の様子、説明ページへのリンク | 体験談、治療前後の写真、依頼した投稿で広告であることを示さないもの |
| Web広告 | 遷移先を要件を満たした説明ページにする | 広告文での割引・最上級・効果の断定 |
| 院内掲示・パンフレット | メニューの存在と、詳しい説明を受けられることの案内、説明ページのQRコード | 保険診療の待合で受診を強く勧める掲示 |
Googleビジネスプロフィールのサービス欄の使い方はサービス欄の登録手順とNG例、SNSでの注意は医療広告ガイドラインとSNS、院内掲示と広告の関係は看板・チラシ・院内掲示と医療広告で扱っています。自由診療が中心の医院のプロフィールの考え方は美容皮膚科・美容クリニックのMEOも参考になります。
IN-CLINIC院内での案内|押し売りにしない説明
院内では、希望する患者が自ら情報を得られるようにし、相談があれば医師が内容・費用・リスク・ほかの選択肢を説明して、考える時間をとります。保険診療で受診した患者に、受付や待合で強く勧めることはしません。
- 説明ページのQRコードや資料を、手に取れる場所に置く
- 相談があれば、医師が内容・費用・リスクを説明する
- 保険診療で行える選択肢がある場合は、それも伝える
- その日に決めなくてよいことを伝え、考える時間をとる
- 契約の内容と解約の条件を書面で渡す
- 保険診療の診察のついでに、自由診療を強く勧める
- 受付スタッフが効果を断定して説明する
- 「今日契約すれば割引」など即日の決定を急がせる
- リスクや追加費用の説明を省く
- 口コミを書くことを条件に割引する
美容医療のうち政令で定める一定の施術で、契約期間が1か月を超え、総額が5万円を超える契約は、特定商取引法の特定継続的役務提供に当たり、契約書面を受け取った日から8日以内であれば書面などでクーリング・オフができると消費者庁は説明しています。コース契約を扱う場合は、対象になるかどうかと、必要な書面を事前に確認してください。また、保険診療と自由診療を同じ日に行う場合の扱いは、混合診療の原則との関係で個別の確認が必要です。判断に迷う場合は、所管の行政機関や専門家に相談します。
REVIEWS口コミと患者の声の扱い
自由診療の患者は口コミを参考にしますが、医院が患者の体験談を広告に使うことは医療広告ガイドラインで禁止されています。Googleマップの口コミには返信で丁寧に向き合いつつ、治療の内容や結果、費用には触れません。
- 公式サイトやSNSに、治療の内容や効果に関する患者の体験談を掲載しない(Googleの口コミの転載・埋め込みを含めて慎重に判断する)
- Googleマップの口コミへの返信では、治療の内容・結果・費用・回数に触れず、感謝と案内にとどめる
- 口コミを書くことと引き換えに割引や特典を提供しない(Googleのポリシーで禁止)
- 満足していそうな患者だけに口コミを依頼しない。依頼する場合は来院した方全員に同じ方法で
- 費用や説明への不満の口コミは、返信より先に説明ページと院内の説明の流れを見直す
口コミへの返信の考え方は患者プライバシーを守る口コミ返信、患者の声を広告に使えない理由と代わりに伝えられることは医療広告ガイドラインと体験談・口コミで詳しく扱っています。
COMMON MISTAKES自由診療の集患でよくある失敗6つ
費用を強調した広告に当たり得ます。説明ページの情報の質で選ばれるようにします。
患者が一度に判断できません。メニューごとの説明ページに一緒に置きます。
総額が分かりません。税込の総額と、追加でかかる費用を書きます。
保険が使えると誤解させるおそれがあります。ページと表示で区別します。
説明は医師が行い、受付は資料と相談の予約の案内にとどめます。
Googleのポリシーで禁止されています。口コミの依頼に特典を付けません。
関連ページも同時に確認
FAQよくある質問
自由診療の料金をホームページに載せてもよいですか?
期間限定の割引やモニター価格を告知してもよいですか?
保険診療で来た患者に、自由診療を案内してもよいですか?
Googleビジネスプロフィールに自由診療の価格を書いてもよいですか?
同じ日に保険診療と自由診療を行ってもよいですか?
自由診療のコース契約で注意することはありますか?
自由診療の患者の口コミを、ホームページで紹介してもよいですか?
SUMMARYまとめ|自由診療は、選ぶための情報で選ばれる
今日から進めるならこの順番
自由診療の患者は、時間をかけて比べ、納得してから選びます。その比較に耐える説明ページを作り、費用で誘わず、院内では医師が丁寧に説明することが、規制を守りながら選ばれる、いちばん確かな方法です。保険診療で通う患者の信頼を守ることにもつながります。Googleマップでの見え方を含めた全体像はクリニックMEO完全ガイドにまとめています。
自由診療の案内を、Googleマップと公式サイトの両方で照合します
サービス欄・説明文・投稿・写真の表現、保険診療との区別、公式サイトの説明ページへの導線を確認し、医療広告上注意が必要な箇所と直す順番をお渡しします。
無料MEO診断の案内を見る →- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(PDF)(2026年10月15日確認)
- 厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」(PDF)(2026年10月15日確認)
- 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」(PDF)(2026年10月15日確認)
- 国税庁「No.6902 『総額表示』の義務付け」(2026年10月15日確認)
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」(2026年10月15日確認)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「保険外併用療養費」(保険診療と保険外診療の併用の原則。2026年10月15日確認)
- Google マップ「禁止または制限されているコンテンツ」(2026年10月15日確認)
本記事は一般的な運用情報であり、集患の効果やGoogleによる表示、個別の表現・契約・診療の適法性を保証するものではありません。記事中の価格は説明のための例です。
対象:日本国内の保険診療を中心とするクリニック・診療所における自由診療の情報発信。個別の表現や契約、保険診療との併用の扱いは、所管の保健所・地方厚生局・消費者庁の資料または専門家にご確認ください。

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